双眼鏡って古くからある割に、多くの人が触れることなく一生を終える道具の一つ
じゃないかなと思います。
それゆえに私が最初の1台を選ぶときも、意外と情報を得にくくて苦労しました。
ネットで検索して諸元は分かっても、実際の見え方が分からない。身近に使っている
人も居るわけで無し、量販店で少し見掛るものが精々・・・。
【50倍ズーム!?】
倍率ひとつ取っても、最初はその意味すら何が何やら。やがて、店頭で「50倍
ズーム」というものを手にしましたが、暗くボヤけて視界がとても狭いし、震えて
見えるで、何が見えているのかサッパリ分からない物でした。この経験以降、いくつ
か覗いた結果、倍率はせいぜい10倍までで良い気がします。
不思議と倍率が高まる程に手振れが露骨に伝わって見えにくくなっていきます。
【初心者こそ低倍率】
今、私は6.5倍に始まり、7倍、8倍、10倍の4台の双眼鏡を持っています。
それぞれに倍率と対物レンズの口径、視野の広さが異なります。倍率が低くなる毎に
手振れの影響が気にならなくなります。
また、視野が広いと動くものがより見つけやすくなります。これは鳥を観る時に
物を言います。そして対物レンズの口径が同じならば、倍率が低い方が明るい見え
方になります。「瞳径」(対物レンズの口径÷倍率のこと)が大きいほど光がより
目に届く訳です。これはコンサートなどで威力を発揮します。「推し」がより明るく
見えますよ。
【重さも大事な要素】
視野が広く、持ち重りしない(重心バランスが良い)機材が初心者には使い勝手が
良いと思います。私の場合は半日くらい、野鳥を求めて野山を巡ることがありますが、
実重量は500gくらいまでが持って歩くのには苦にならない重さだと感じます。
700g台の物は良く観える物が多いですが、使ううちにじわじわ重く感じてきます。
【レンズのコート】
光はレンズを通過する際にその一部を失っていくそうですから、対物や接眼レンズ
にコートと呼ばれるものを塗布することで、それを防いでいます。そのコートですが、
スキーヤーのゴーグルよろしく赤っぽいコートが施されたものがあり、ルビーコート、
暗視コートなど一見すごい名前が付けられていますが、これらは正直、やめたが良い
と思います。暗いばかりで良く見えませんでした。良いコートはキラッとした反射が
少なく、光源が淡く写り込んで、まるで清水を湛えた湖を思わせます。
【ズームレンズは不要】
ズーム双眼鏡は、倍率が可変することで一見、便利なようにも思えますが、機構に
無理が生じることから、どの領域でも満足に見えず、器用貧乏の最たるものです。
(その証拠にトップメーカーはどこもズームを扱っていない)初心者こそ単焦点の
低倍率機をお勧めします。
【ご予算はおいくら?】
また、値段もピンキリありますが、双眼鏡は思う以上に精緻な品物ですから、
「観える」品物はやはりそれなりのお値段になります。1万円くらいは出した方が
あとで問題は少ないと思います。
まとめますと、
①最初の1台は低倍率(5~7倍)の方が視野に捉えやすい=双眼鏡の扱いに慣れ
やすい
②より明るく、見やすさを求めるなら低倍率の物を選ぶ
③対物レンズ口径に対し、明らかに過剰な倍率の物は避ける(口径20mmで50倍
ズームなど)
④500g超えると持ち運びがつらくなる
⑤派手な色のコートにご注意
物を選んでいる時が一番楽しかったりしますね。
どうぞ良い一品に巡り合われんことを・・・。